年金生活者支援給付金(ねんきんせいかつしゃしえんきゅうふきん)は、おもに年金をもらっている人の中で、生活がたいへんな人をサポートするために、国がお金をプラスで支給する制度です。ふつうの年金に少しだけ上乗せされてもらえるこの制度は、年配の方々にとって心強い仕組みになっています。
この記事では、「どんな人がもらえるの?」「どのくらいの金額がもらえるの?」「どうやって申し込むの?」などのポイントを、できるだけかんたんに、ていねいに紹介します。

年金生活者支援給付金とは?
この制度は、ふだんの年金だけでは生活が厳しいという人をサポートするためにつくられました。具体的には、年金の種類として以下のいずれかを受け取っている人の中で、所得(しょとく)などの条件にあてはまる人が、年金に加えて少し多くお金を受け取れるというものです。
- 老齢基礎年金(ろうれいきそねんきん)
- 障害基礎年金(しょうがいきそねんきん)
- 遺族基礎年金(いぞくきそねんきん)
年金をすでに受け取っている人だけでなく、これから年金をもらい始める人でも条件を満たせばもらえる可能性があります。
給付金の3つのタイプを紹介
年金生活者支援給付金は、受け取っている年金の種類によって次の3つに分かれています。
- 老齢年金生活者支援給付金(高齢になってからの生活をサポートするための給付金)
- 障害年金生活者支援給付金(病気やケガで働けない人のための給付金)
- 遺族年金生活者支援給付金(家族を亡くして遺族年金を受け取っている人を支援する給付金)
とくに老齢年金タイプには、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という、追加のサポート制度も用意されています。これは、年金をもらっていて、さらに少しだけ収入がある人でも、まだ生活がたいへんだと判断された場合に支給される仕組みです。たとえば、年金のほかにアルバイトやパートなどで月に数万円の収入がある人でも、全体の収入が一定の基準を超えなければ、この補助を受けることができます。この制度の良いところは、「まったく収入がない人」だけでなく、「少しの収入はあるけど生活はまだ厳しい人」も対象にしているところです。つまり、完全に収入ゼロじゃなくても、生活が安定していない人をしっかり支えるための柔軟な仕組みといえます。
どういう人がもらえるの?条件をチェック
この給付金を受け取るためには、もらっている年金の種類ごとに、いくつかの決まった条件をすべて満たしている必要があります。どれか一つだけクリアすればよい、というわけではなく、いくつかの条件を同時に満たしているかがとても大事なポイントです。また、どのタイプの給付金にも、それぞれ異なる条件があるので、自分がどの年金を受け取っているかをしっかり確認して、その上で条件をチェックしましょう。ここからは、3つのタイプごとに、具体的な条件をわかりやすく説明していきます。
【老齢タイプ】
- 65歳以上で老齢基礎年金を受け取っていること。
- 一緒に住んでいる家族全員が、市町村民税(しちょうそんみんぜい)を払っていないこと。
- 前の年の年金や収入の合計が、一定の基準以下であること。
たとえば、昭和31年4月2日以降に生まれた人は88万9300円以下。

【障害タイプ】
- 障害基礎年金を受け取っていること。
(これは、病気やケガなどで働くことがむずかしくなった人に支給される年金のことです。ふだんの生活を送るのが大変な人に向けたサポートです) - 年間の所得が472万1000円以下であること。
(所得とは、仕事で得た給料や事業の利益など、1年間で得たお金のことです。この金額を超えてしまうと、支給の対象外になるので注意が必要です)
【遺族タイプ】
- 遺族基礎年金を受け取っていること。(遺族厚生年金は対象外です)
- 年間の所得が472万1000円以下であること。
どのくらいお金がもらえるの?金額の目安
年金生活者支援給付金の金額は、毎年物価の変動などに応じて見直されます。2025年度(令和7年度)の支給金額は次の通りです。
- 老齢タイプ:月に5,450円
- 障害タイプ(1級):月に6,813円
- 障害タイプ(2級):月に5,450円
- 遺族タイプ:月に5,450円
老齢タイプの人がもらえる金額は、人によってちがいます。たとえば、これまで何年間年金保険料をきちんと払ってきたか(納めた年数)や、特別な理由で保険料を払わなくてもよかった「免除の期間」があるかどうかで、もらえる金額が計算されます。また、「補足的給付金」の方は、もらう人の収入に合わせて少しずつ金額が変わる仕組みになっていて、収入が多ければ少なめに、収入が少なければ多めにもらえるようになっています。このように、できるだけ公平になるように工夫されているのです。
申し込みの方法は?手続きの流れ
給付金をもらうためには、自分から申し込む必要があります。手続きの流れは以下のようになります。
- 毎年9月ごろ、日本年金機構からハガキが届きます。
- そのハガキ(請求書)に名前や住所などを記入します。
- 記入したハガキを返送すれば、申し込み完了です。
新しく年金をもらい始める人は、年金の申請といっしょに年金事務所で申し込めます。さらに、パソコンやスマホから「マイナポータル」を使ってオンラインで手続きすることも可能です。
支払いは、偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月など)のだいたい15日前後に行われます。支給されるのは、その前の2か月分の合計金額です。たとえば、4月に支払われる分は2月と3月の分になります。このお金は、ふだんの年金とは別に、自分が登録している銀行の口座に振り込まれます。振り込みのタイミングや金額を確認したい場合は、「ねんきんネット」などのサービスを使って調べることができます。
たとえば、2024年10月分からもらいたいなら、2025年1月6日までに申し込む必要があります。

2025年度はここが変わった!最新情報
2025年(令和7年度)は、物価が上がったことに対応して、支給される金額が2.7%アップしました。たとえば、前年に月5,310円だったものが、今年は月5,450円に増えたというイメージです。さらに、年金保険料の支払いを免除されていた人についても、その人たちが受け取る給付金がこれまでより少し多くなるように制度が見直されました。こうした変更は、物価が高くなって生活費が増えている状況を考慮して、年金生活者の負担を少しでも軽くするための対応です。
こうした変更があった場合、日本年金機構からは毎年5月から6月ごろに封書やはがきでお知らせが届きます。お知らせには、今年の支給額や変更点などがわかりやすく書かれているので、よく読んで確認しましょう。また、自宅に届くお知らせ以外にも、「ねんきんネット」という公式のウェブサイトで、自分の年金情報や支給内容をインターネットで確認したり、通知書をPDFでダウンロードしたりすることができます。

詐欺に注意しよう!こんな連絡には気をつけて
最近は、年金や給付金についてのウソの電話や手紙が多くなっています。たとえば、「給付金を受け取るには手続きが必要なので、口座番号や暗証番号を教えてください」などと言われるケースがありますが、これは詐欺です。日本年金機構や厚生労働省が、電話でそういった個人情報を聞いたり、お金を請求したりすることは絶対にありません。
「お金が戻ってくるからATMに行って操作してください」や「手続きには手数料がかかるので、コンビニで電子マネーを買って番号を教えてください」などと言われたら、それは詐欺の可能性がとても高いです。こうした連絡があった場合は、あわてて対応せず、すぐに家族や学校の先生、信頼できる大人に相談しましょう。もし一人で対応するのが不安なときは、警察や市役所にも相談することができます。
問い合わせをしたいときは?
年金生活者支援給付金について質問したいことがある場合は、以下の窓口に連絡できます。
- ナビダイヤル:0570-05-4092
- 050で始まる電話の場合:03-5539-2216
【受付時間】
- 月曜日:午前8時30分~午後7時
- 火~金曜日:午前8時30分~午後5時15分
- 第2土曜日:午前9時30分~午後4時
※祝日や年末年始は受付していません。
まとめ
年金生活者支援給付金は、お金に困っている年金受給者を助けるための制度です。年金だけでは足りない人にとって、月に数千円のプラスは大きな安心になります。
もしかしたら、みなさんの家族や近所の人も対象になっているかもしれません。条件に当てはまるかどうかをしっかり確認して、忘れずに申し込むことが大切です。家族でいっしょに制度を知って、安心できる生活につなげましょう。
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